戦後の日本の男は、
潔く、何も語らぬまま、あの世に旅立った。2005年、戦争中はパイロットとして活躍した父は「戦後60年、戦友の処に、今年帰る」といい、その通り、風呂の中で心筋梗塞で亡くなった。
その死は、美であると共に、無責任かもしれない。
おなごは身近な幸せを追っていいが、男までそれでは、存在価値はあるまい。
無難は女子の美徳だが、
男まで全てを無難に済ませれば、
その時点で、存在価値を失う。すべてに波風はいらないが、さざ波もない海は、
死海である。